従来、日本では、乳がんの集団検診は視触診主体で行われていました。しかし、視触診だけでは乳がんの死亡率は低下しないことが分かり、新たに加わったのがマンモグラフィ(レントゲンによる乳房撮影)検診です。
既に欧米では、マンモグラフィによる乳がんの死亡率低下が報告されており、日本でも平成12年から50歳以上の検診に加えることが義務づけられました。その後、50歳以上の乳がん死亡率を低下させることが日本でも確認され、平成16年からは、40歳以上の受診者に2年に1回マンモグラフィと視触診を併用しています。
乳がんの画像診断はマンモグラフィと超音波検査が基本です。マンモグラフィは、高齢女性の触知しない小腫瘤や、超音波が捉えにくい乳がんに特有の微細石灰像の発見には優れています。しかし、乳腺の発達した閉経前の女性においては診断能力は低く、視触診、超音波にかないません。
一般的に、マンモグラフィのみでは10~15パーセントの乳がんの見逃しがあるとされます。しかし、医師による視触診や超音波検査は費用が高く、人材も不足しているため、2年毎の視触診併用のマンモグラフィ検診が行われています。また将来は、50歳以上の視触診は無くなる方向です。これらの問題点を補うのが乳がんの自己検診です。
あお向けで、肩の下に枕を入れ、片腕を頭の後方に上げます。反対の人差し指、中指、薬指の指の腹を用い、乳腺表面を滑らすように触ります。あばら骨が分かる程度の強さで押します。乳房にローションなどを塗り、動きを滑らかにすると効果的です。腕を下げた状態でも同様のチェックをします。
鏡に向かい、両腕を上げた状態と下げた状態で、乳房の左右の大きさや形や向き、乳首を観察して、ひきつれやへこみ、湿疹がないか調べます。乳首を圧迫し、分泌物がないか調べます。
自己検診は、30歳過ぎたら毎月1回、生理が終わった7日目ごろ(閉経の人は日を決めて)に行いましょう。異常があれば、ただちに乳がん専門医の精密検査を受けてください。