アトピー性皮膚炎という皮膚病は、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら、しつこく続いていくかゆみのある湿疹です。体質として、 ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、じましんなどのアレルギーの病気になりやすい特徴があります。
必ずしもアレルギーが、湿疹の主な原因ではありません。多くの患者さんは、皮膚表面の脂の膜や皮膚をしっとり潤わせる成分(セラミド)が少ないことにより、皮膚が乾燥してカサカサしやす、外からの刺激(汗、ほこり、汚れ、摩擦など)を受けやすくなることによって、湿疹ができやすくなります。
そのほかにも、アレルギー(家ダニ、カビ、乳幼児では卵、牛乳、大豆などの食物)、ストレス、細菌などの多種類の原因が複雑に絡みあって症状を悪化させます。
多くは乳児期に始まり、特に乾燥する冬や汗をかく夏に症状の悪くなる波を繰り返しながら、大部分は思春期ごろには、自然に治ります。まれに大人まで続くこともあります。かぶれなどと違い、体質性ですから、短期間の治療ですぐ治りきるものではありません。あせらず、根気良く治療していくことが重要です。
湿疹は、かけばかくほど、かゆみは強くなっていきます。ひっかくことによって、湿疹がさらにひどくなったり、とびひ、みずいぼ、おできなどの感染の原因となります。症状の程度、部位に応じて、副作用にも注意しながら、適切な外用薬やかゆみ止め、抗アレルギー剤などの内服薬による治療が必要です。
湿疹を治しても、湿疹が起こりやすい皮膚の性質が変わったわけではありません。日ごろの皮膚の手入れ(スキンケア)が必要です。汗や汚れを落とすために、入浴は毎日しても構いません。石けん、シャンプーは洗浄力の強いものは避け、週2、3回の使用とし、洗い方はタオルでゴシゴシこすらずに、手で石けんを泡立てて、手指で洗ってください。その後石けんの成分が残らないようによく洗い流し、保湿剤を含めた適切な外用剤を塗ります。つめは短く切って、清潔を心がけましょう。
なるべく綿のものを着用し、毛ばたちなどにより皮膚を刺激する化学繊維やウールまたは羊毛などは避けましょう。
原則として何を食べても構いません。偏食をしないことが大切です。安易な食事制限は、発育の支障をきたすことがあります。ただし、3歳前後までで、卵白、牛乳、大豆などを食べて、症状が悪化することがある場合には、食事制限が必要となることがあります。
ほこりには、家ダニやカビそのほかの成分が含まれています。これら対するアレルギーが、湿疹の悪化の原因になることがあるので、居室、寝具は清潔にしましょう。
かゆみを強くし、湿疹を悪化させる原因となります。
気分転換や家族の理解と思いやりが必要です。