スポーツや仕事・日常生活を送るなかで、注意していても不慮のケガは避けられないものです。
そんなとき、医者に診せるまでの間、ケガを悪化させないようにできるだけよい状態に保っておく方法が応急処置です。
明らかな骨折や脱臼のない比較的軽いケガには応急処置を行います。
適切な応急処置を行うことにより、機能障害の予防や早期の回復が見込まれます。
一般に身体の一部に損傷を受けた場合には以下のような反応が起こります。
この流れを②の段階で抑え、なるべく③以上に進ませないようにしよというのが応急処置の目的です。
応急処置(RICE)とは以下のような処置の頭文字の造語です。
ケガをしたところを安静に保つ。ケガをしているときに無理に動かすと腫れや内出血が悪化します。
氷で冷やす。痛みを軽くし腫れや内出血を抑えるために局所的に冷やします。一般的にはビニール袋に氷を入れてぬれたタオルの上などから患部に当てます。20分冷やし40分休むを基本に組み合わせてください。コールドスプレーは持続的な冷却効果を得るほどの期待はできません。スプレーを吹き続ければ別ですが、そうすれば間違いなく凍傷になるので注意してください。
患部の腫れを最小限に抑えるために弾力包帯などで圧迫します。圧迫が強すぎると血流を悪くしたり神経を圧迫することがあるので、巻く強さを加減しましょう。患部の先がしびれたり青くなったときは、一度緩めて、しびれや青みがとれてから再び圧迫します。
患部を心臓より高いところに持ち上げることによって腫れを抑える効果があります。
一般に皆さんがねんざと聞いたときには軽症と考える傾向にあるように思います。しかしながら、医学的にねんざとは、関節が外力を受けてその生理的運動範囲以上の運動を強制された場合で、骨折や脱臼以外の状態をいいます。ですから、ねんざの中には関節包やじん帯の軽度の損傷から、じん帯が断裂して関節がグラグラするものまで含まれています。
よく、ねんざがくせになったというのはじん帯が断裂したまま残ってしまった状態です。じん帯が断裂した場合ギプス固定や手術が必要なこともあります。
応急処置がうまくでき、痛みが一時的に軽減してもケガが治ったわけではありません。また、慢性期になると治療が難しくなることもあります。ですから応急処置がうまくできてもなるべく早く一度は医者に診てもらうよう心掛けてください。