熱中症とは、読んで字のとおり、「熱に中(あた)る症状」です。つまり「”あつさ”によって引き起こされる、さまざまな体の不調」のことをいいます。
厳しい暑さにさらされる、あるいは運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった人は、体温を一定に保つために大量の汗をかきます。それにより、体内の水分や塩分が失われ、さまざまな体の不調が起こります。いくつかの症状が重なり合いながら進行していき、全身の臓器の機能不全になると、死に至る可能性もあります。
熱中症は、①熱波による高齢者の熱中症、②幼児が高温環境(自動車内の放置など)に置かれて起こるもの、③厳しい暑さの中での労働で起こるもの、④スポーツ活動中に起こるものなどがあります。
熱中症は、皆さんの身近なところで起きてます。また、熱中症は極めて短時間に重症化することがあります。そのため、まず熱中症の危険性を認識しておくことが必要です。
次の重症度分類において軽症の時点で、適切な対応をとることが重要になります。
手足や腹筋などに痛みを伴うけいれんや、数秒間の失神が起こる。
めまい感、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、失神、吐気、おう吐などのいくつかの症状が重なり合って起こる。
意識障害、おかしな言動や行動が起こる。
意識障害を伴うような重症の熱中症は、迅速な医療処置が生死を左右します。また、発症から20分以内に体温を下げることができれば、確実に救命できるともいわれています。熱中症を疑った場合は、まず119番通報することが原則です。学校や施設などでは、通報手順を日ごろから把握しておきましょう。
熱中症の手当は一般に発症から20分以内の手当が重要とされています。そのため、救急車を待つ間も、安静、冷却、水分補給などの応急手当を行うことが必要です。
安静を保てる環境へ運び、衣服を緩める。必要に応じて衣服を脱がせ、体を冷却しやすい状態にする。
涼しい場所(クーラーの入っているところ、風通しのよい日陰など)でやすませる。症状に応じて、必要な冷却を行う。
意識がはっきりしている場合に限り、水分補給を行う。けいれんの予防には、スポーツドリンクなどが望ましい。