みんなの健康講座
広報 はつかいち より HATSUKAICHI


平成16年3月1日号 No.955

白内障は進行すると視力が低下します

佐伯地区医師会 廿日市支部 斎藤 友哉

白内障とは、水晶体が濁る病気です。水晶体は、カメラに例えるとレンズにあたります。進行するとひとみが白く見えたことから、昔は、「白そこひ」ともよばれていました。

◆症状

白内障になると、かすむ、にじむ、二重に見える、強い日差しのところではまぶしくて見えにくくなるなどの症状が起こります。ひどく進行すると、生活が出来なくするほど、視力が低下します。

ほとんどの人が両目とも同じように進行するので、視力低下を自覚します。ところが、片目だけが進行して見えなくなっていても、もう片方が見えると、悪くなっていることに気付かず、かなり進行して受診する場合もあります。

◆原因

白内障の主な原因は加齢です。簡単に年齢に10を足すとおおまかな発症率になります。例えば60歳なら70パーセント、70歳なら80パーセントというように年齢が上がるほど発症率が高くなります。

そのほかの原因としては、糖尿病、アトピー、先天性、外傷性、ステロイドなどの薬剤性、放射線、炎症性などさまざまな原因があります。

これらの原因で思い当たることがあれば、眼科を受診するか主治医に相談して下さい。

◆治療

白内障の初期は、点眼薬による治療を行うことがあります。しかし、残念ながら進行を遅らせる程度で、白内障の進行をピタッと止めたり、よくしたりするような薬はまだ開発されていません。つまり、進行したら手術を行うしかないのです。

手術を行う時期ですが、本人が視力低下のために生活に不自由を感じるかどうかということが重要なポイントになります。

例えば、車の運転免許がどうしても必要で、メガネをかけても0.7以上見えないと免許更新ができないので、そういう場合は視力が0.6でも手術を行うことがあります。逆に視力が0.1でも、車の運転はしない、ご飯を食べるのも外出するのも不自由がない場合には、手術をしないこともあります。

しかし、白内障があまりにも進行すると緑内障を引き起こしたり、手術が難しくなるこがありますので、定期検査は大切です。

◆手術

最近の手術は、超音波を利用して、水晶体の濁りをくだきながら、吸いだす方法がよく行われます。

また、同時に人工水晶体を眼内に移植する場合が多くなっています。この方法だと、手術に必要な傷口は、3ミリメートル程度で済み、術後の回復が早く、早期からよく見えるようになります。

次に行われる方法は、水晶体を丸ごと取り出す方法です。これは傷口が大きくなりますから、手術後視力が落ち着くのに時間がかかることがあります。以前はこの方法がよく行われましたが、最近では、白内障がかなり進行した場合など、超音波手術が行えないときにこの方法でおこないます。

最近の白内障手術の技術は進歩が目覚しく、かなり安全になってきました。入院することもなく日帰りで手術を行うことも可能となりました。しかし、100パーセント安全かというと残念ながらそうではありません。眼科医とよく話し合い、十分納得して、手術をするかどうか決めることが大切です。