アレルギーによって起こる病気には、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などがあります。これらの病気は、近年とても増加してきています。また、大都市では、地方の町村の2、3倍これらの病気になりやすいといわれています。とくに気管支ぜんそくは、地方に比べ大都市では明らかに多いだけでなく、1960年代と現在を比較すると、少なくとも5倍程度増加しています。
アレルギーは、アトピー素因(アレルギー体質)といわれる遺伝的要素と環境要素の互いの働きかけによって症状がみられるようになります。両親にアトピー性皮膚炎と気管支ぜんそくがあれば、その子どもの84パーセントに、また、片親に療法の病気があれば57パーセントにアレルギーがみられたとの報告があります。
しかし、ここ数十年で日本人の遺伝的要素が大きく変わったとは考えられません。また、遺伝的要素が似ている双子でも、一方にはアレルギー症状が出ないということがよくあります。環境要素がアレルギーに大きくかかわっていると考えられます。
例えば、気管支ぜんそくの場合には、直接の原因になりやすい抗原のほかに、気象、感染、運動、精神、植物、薬物、疲労、内分泌などが関係してきます。
小児のアレルギー、とりわけ気管支ぜんそくで最も重大な原因はダニです。やはり予防には換気と掃除が大切です。ダニとともに注目されるのはカビで、部屋の風通しにも気配りが必要です。花粉、ペットのフケや毛も原因となります。
開放型ストーブとガス調理器具を使用するときは、十分に換気する必要があります。
汚染物質は主流煙よりも副流煙に多く、ニコチンで2から3倍、一酸化炭素で4から5倍、窒素硫化物で3から4倍、アンモニアで40から50倍といわれています。喫煙者本人はもとより、受動喫煙による煙の気道刺激によて気管支ぜんそく発作がおきることもしばしばみられまる。
急性気道感染のときに気管支ぜんそくが現れたり、症状が重くなったりすることがあります。その原因のほとんどは呼吸器ウイルスです。気管支ぜんそくのある人は、かぜをひいたら早めに診察を受けることが大切です。
アトピー性皮膚炎の湿疹部分からは黄色ブドウ球菌がよく見つかります。このことが、なかなか皮膚炎が治りにくい原因の一つと考えられています。
いろいろなアレルギーに関係しています。食物だけでなく、食品添加物も関係してきますので、今後ますます食環境には注意が必要になるでしょう。
子どもや親のゆとりがなくなり、不安が増えているような社会の精神的環境の変化もアレルギーが増えている原因の一つです。しかし、これだけが原因であることは少ないと考えられます。
これら以外にも、温度、湿度、風速、気圧などの気象条件もアレルギーに関係していることがあります。
さまざまな原因が複雑に影響し合ってアレルギー症状が出るので、家庭生活の中でいろいろな注意と観察が大切です。