みんなの健康講座
広報 はつかいち より HATSUKAICHI


平成15年9月1日号 No.943

発熱! 病院へ行く目安は

佐伯地区医師会 佐伯支部 大久保 和典

わたしたちの体温は、脳の中心部にある体温中枢により調節を行なっています。

病的発熱は、体温を上昇させる発熱物質により体温調節装置の温度設定が高くなり、体温が上昇する状態をいいます。

◆発熱の程度

一般的には37.0~37.9度を微熱、38度以上を高熱として扱っていることが多いようですが、厳密には発熱の程度は、37.0~37.9度を微熱、38.0~38.9度を中等度熱、39度以上を高熱に分類しています。ただし、体温には個人差や測定部位による変化があり、環境からもかなりの影響を受けます。

この分類での発熱とは、成人が脇の下で体温測定を行なった場合です。小児の場合は成人より高めの37.5度以上を発熱としています。また、発熱の原因や対処法も成人と小児では異なります。今回は、成人が発熱した場合の病院へ行く目安をあげてみます。

◆こんなときは病院へ

わたしたちが発熱したとき、そのほとんどが、ウイルス性の上気道感染症(いわゆる風邪)が原因と考えられています。

発熱が微熱程度で、のどの痛み、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった明らかな風邪症状のみを伴う場合は、市販の総合感冒薬などの服用と水分をしっかりとって安静にすることで、ほとんどの場合、症状が緩和されます。

しかし、次のような場合は、風邪以外の原因による発熱である可能性も高いので、むやみに解熱剤などを服用せずに、早めの受診をおすすめします。

また、高齢者の発熱や、悪性腫瘍の治療中・手術直後などで抵抗力の落ちている人も、脱水や合併症を発生する可能性が高いので、早めの受診が必要です。

◆早急に病院へ

最も危険で早急に病院での受診が必要な発熱は、日射病や熱射病に代表される身体の熱の吸収放散の働きが妨げられておこる高体温と呼ばれる状態です。まれではありますが、一般的な発熱とは発症のしくみも治療法も異なり、急速に死に至るような危険な状態に陥ることがあるため、緊急の治療が必要です。

◆早期の治療が有効

早期の治療が非常に有効な例として、インフルエンザ感染症による発熱があります。

現在はインフルエンザウイルスに対する検査薬と特効薬が一般的に使用されるようになってきており、発熱から48時間以内に治療を開始すれば、特効薬が有効に働きインフルエンザ感染症は早期の 治癒が可能です。

インフルエンザ感染症の流行している時期に高熱が出たら、様子をみることなく早めの受診をおすすめします。