みんなの健康講座
広報 はつかいち より HATSUKAICHI


平成15年7月1日号 No.939

子どもがなかなかできない!?
悩まず産婦人科に相談を

佐伯地区医師会 廿日市支部 江川 健士

妊娠を希望し、ある一定期間、性生活を行っているにもかかわらず妊娠できない場合を不妊といいます。その一定期間については、1年から3年までの諸説がありますが、2年が一般的です。結婚年齢が高くなるほど不妊症の割合は高くなる傾向にあります。

不妊に悩んでいるカップルは10パーセント前後と考えられています。

不妊症の原因は、精子障害35パーセント、卵管機能不全30パーセント、排卵障害20パーセント、けい管粘液異常5パーセント、原因不明10パーセントとなっています。

精子障害は意外に多く、精液検査は必ずしてもらいたいと思います。泌尿器科でも産婦人科でも検査ができます。精子のを数、奇形率、運動率などを検査し、一般的には、精子濃度が1ミリリットル中1,000万以下では通常の 性交では妊娠しないことが多いといわれています。

卵管が閉そくしていたり、卵管の運動が悪ければ妊娠しません。これに対しては子宮卵管造影というレントゲン検査や通気・通水検査を行います。これらは検査することにより、通過性が良くなるという治療も兼ねています。

排卵障害は、ただ単に卵巣だけが悪いとは限りません。排卵は脳の視床下部や脳下垂体、卵巣のホルモンバランスによって調節されています。卵巣から出る卵胞ホルモンや黄体ホルモンだけでなく脳下垂体からでるホルモンなどの検査を行い、どこに異常があるのかを調べます。治療は程度に応じて漢方薬、ホルモン剤、排卵誘発剤などを使用します。

現在排卵しているかどうかを調べるのは、基礎体温を測るのが最も簡単で安価な方法です。朝、目覚めたら動かずに、基礎体温を婦人体温計ですぐに測ります。少し面倒ですが、治療の基本となりますので、必ず測定してください。

また、薬局などでも、尿に排せつされる黄体ホルモンを測定し、排卵が近いかどうかをみるキットが売られています。

産婦人科に行き、卵胞の大きさを超音波で測って排卵を予測する方法もあります。

けい管粘液異常があると、子宮腔に精子が進入できず、不妊の原因となります。この場合は、器具を使って精子を直接子宮内へ注入する方法が取られます。

これ以外に不妊症は原因不明のことが多く、治療に長期間を要す人もいます。最終的に、体外受精が必要となる場合もあります。

年齢が高くなると妊娠しにくくなりますので、子どもができないなと思ったら、気軽にお近くの産婦人科に相談してください。