みんなの健康講座
広報 はつかいち より HATSUKAICHI


平成14年11月1日号 No.923

動脈硬化の原因 高脂血症

佐伯地区医師会 廿日市支部 野坂 誠士

◆動脈硬化とは

今回は日本人に急増している動脈硬化の話です。体の中には動脈と静脈という2種類の血管があります。心臓から酸素を含んだ血液を体中に送り出すのが動脈です。

動脈硬化とは、文字どおり動脈が硬くなることですか゛、硬くなるだけでなく、動脈の内側にプラ-クという硬いごみが形成されることが問題なのです。このプラ-クがどんどん大きくなると、動脈が狭くなったり詰まったりします。しかも動脈が詰まると、酸素を含んだ血液が流れなくなり、その先にある細胞は死んでしまいます。このようなことが心臓で発生すると心筋こうそく、脳で発生すると脳こうそくということになります。動脈は体中に存在しているため、心臓、脳だけではなく、腎臓、眼、足、腸などでも起こり得るのです。

また動脈硬化を発症した動脈はもろくなり、血圧が上昇すると容易に破壊してしまいます。したがって、脳出血やくも膜下出血なども動脈硬化と非常に密接な関係があるのです。

◆動脈硬化の要因

動脈硬化になりやすい要因を、皆さんはどのくらい知っていますか。高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、遺伝、加齢、不規則な生活、ストレスなどに加えて、近年、特に重要視されているのが高脂血症です。

高脂血症とは、簡単にいうとコレステロ-ル値が高い病気のことです。先に話したプラ-クのほとんどはコレステロ-ルからできています。血液中のマクロファ-ジという成分は、動脈の壁に沈着したコレステロ-ルを食べてプラ-クを形成するのです。したがってコレステロ-ルが血液中に過剰に存在する人は、プラ-クができやすくなるという訳です。

健康診断や病院で血液検査を受けた人は、次の項目に注目してみてぐたさい。総コレステロ-ル〔正常値220以下〕、LDL(俗に言う「悪玉」)コレステロ-ル〔正常値140以下〕、HDL(俗に言う「善玉」)コレステロ-ル〔正常値40以上〕、中性脂肪〔正常値150以下〕の4つです。LDL(悪玉)コレステロ-ルはコレステロ-ルを細胞に送り動脈硬化を促進するのに対し、HDL(善玉)コレステロ-ルはコレステロ-ルを取り去り、動脈硬化を防げる働きがあります。両者を合わせたものが総コレステロ-ルと考えてください。中性脂肪には、悪玉コレステロ-ルを動脈壁に沈着しやすい型にしたり、善玉コレステロ-ルを減らしたりする作用があります。この中の一つでも異常値があれば高脂血症といえます。

◆高脂血症の治療法

さて、問題の治療方法ですが、何といっても食事療法と運動療法の2本立てです。

野菜、魚、大豆を中心にした食事に切り替えてみましょう。卵、レバー、いか、数の子などはコレステロールを多く含む食品ですので、取り過ぎに注意が必要です。

次に1日20~30分のウォーキングを実行してみましょう。ウォーキングというと身構えてしまいますが、1駅分歩いてみるくらいの気持ちでいいのです。要は毎日続けることが大事なのです。

現在は、安全で効果の高い内服薬が発売されていますが、やはり副作用の可能性はゼロではありません。薬剤費も本人負担で、月に1,500円前後必要になります。

ここはひとつ、家計と体のダイエットに取り組んでみませんか?