みんなの健康講座
広報 はつかいち より HATSUKAICHI


平成14年10月1日号 No.921

心の健康づくり

佐伯地区医師会 廿日市支部 福田 裕恭

ストレス社会といわれる現在、わたしたちはさまざまなストレスを受けて生活しています。今の世の中で、ストレスゼロの生活をしている人はいないと言っていいでしょう。

外部からストレッサーといわれる、心理的・感情的・環境的・物理的なものによる負担や刺激がかかると、この変化に適応しようとして、わたしたちの心や体にストレス反応と呼ばれる緊張状態が起こります。これは、いろいろな障害から身を守ったり、課題に挑戦したりするときに必要な自然な反応です。ストレスが過剰になり、その人の適応範囲を超えると、心は拒否反応を起こし、不安や抑うつ状態になったり身体がストライキを起こすため、いろいろな症状が出現します。

しかし、人間にとってストレスがまったくなかったり少なすぎたりすると、身体の緊張もなく人の心と体を鈍らせ退化させます。定年で退職したら、仕事のストレスや緊張から一気に解放されますが、趣味がなく仕事一筋で生活してきた人にとって、それは過少ストレスとなり一気に老け込んでしまいます。

ストレスにより出現する症状は次のものがあります。

心身症という病名があるように、以前からある種の病気の発病や進行に心理的な要因(ストレス)が影響することが知られていました。最近ではストレスによる健康障害が医学的にも注目を集め、重視され始めました。ストレスと病気の関係も実証されてきています。例えば、ストレスが多いと風邪などの感染症にかかりやすくなること、狭心症や糖尿病を起こしやすくなることなどです。

また時に、うつ病などの心の病気を引き起こしたりします。このストレス病ともいえるうつ病は自殺という痛ましい結果を招く場合があります。

日々の暮らしの中にストレスは必ずついてまわるものです。心の健康を保つためには、ストレスに気づき、早めに解消しましょう。

そのためには、自分のストレス解消法や気分転換法をみつけましょう。日ごろから、心身のリラクゼーションをはかることも大切です。また、仕事などの疲れを取るにはゴロ寝だけでは不十分です。スポーツや趣味を楽しむなどの積極的休養が必要です。

栄養バランスのとれた食生活、良質かつ十分な睡眠は、一日の疲れをとり、翌日からの活力の源となります。

また、ちょっとした遊び心、おしゃれ心なども日常生活に潤いをもらせます。

そして、生きがいやまわりの人たちとの円滑な人間関係は、生涯にわたる心の健康づくりをすすめていく上でかかすことのできないものといえます。