みんなの健康講座
広報 はつかいち より HATSUKAICHI


平成14年8月1日号 No.917

B型肝炎・C型肝炎のはなし

佐伯地区医師会 廿日市支部 奥 純一

肝炎を起こす原因にはウイルス性、アルコール性、薬剤性、自己免疫性などがありますが、多くはウイルスが原因です。その中で特に注意したいのは、肝炎ウイルスと呼ばれるもので、これは急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変の原因となります。

わが国ではA型、B型、C型肝炎があります。A型肝炎は急性肝炎がほとんで慢性かすることはなく治癒します。B型肝炎も一過性感染の急性肝炎であれば治癒し、慢性化することはありませんが、一部、慢性化するものもあります。C型肝炎は、急性肝炎から多くの人が慢性肝炎へ進行しますが、突然、慢性肝炎で発見されることもあります。そして慢性化したB型肝炎、C型肝炎は、肝硬変、最後は肝がんへと進行していくことがあり、それも自分で分かるような症状がないままに、症状が進行することもあるので、油断はできません。そこで今回はB型、C型肝炎について述べてみます。

まず肝臓の状態を調べるには、血液検査、腹部エコー、腹部CT、腹部MRIなどのなどの検査があります。

血液検査で肝障害の程度を表す指標として、GOT・GPTと呼ばれる酵素の量の測定が使われます。これらは肝細胞が壊されると血液中に流れ出してきます。したがって、これらの数値が高いと肝障害があると判断します。そしてB型肝炎ウイルスが存在するかどうかは、HBs抗原(B型肝炎ウイルス抗原)で調べ、C型感絵ウイルスの存在は、HCV抗体(C型肝炎ウイルス抗体)とHCV-RNA検査(C型肝炎ウイルス遺伝子の有無)との組み合わせにより調べます。

これにより肝炎ウイルスの存在が確認され、慢性肝炎と診断されたら、次は画像診断(肝臓の形の変化や肝臓の内部にできたがんの存在を調べる検査)を行いますが肉体的な負担をかけないで診断するのが腹部エコー(超音波診断装置を使う検査)、(エックス線を使う検査)、MRI(磁気を使う検査)などの検査です。これらは肝がんを見つけるにはたいへんすぐれた検査ですが、これらに加え、血液検査で腫瘍マーカー(がん細胞がつくる物質、またはがん細胞に反応してつくられる物質)を測定することにより、肝がんの早期発見に役立ちます。

血液検査、画像診断で慢性肝炎と診断されたら、肝炎を鎮静化する治療を、場合によってはウイルスを退治する治療を行います。以前は肝炎の進行を遅らせる効果ぐらいの治療法しかありませんでしたが、最近ではインターフェロンなどの新しいちりょうでかなりの効果をあげてきています。また、もし肝がんがみつかっても、その治療法には目覚ましい進歩がみられます。外科的治療(手術)だけでなく、患者さんの体に比較的負担のない内科的治療がいくつもあり、一昔前までは治癒が難しい人でも長期生存が期待できるようになりました。

慢性肝炎と診断されたら、定期的な検査を受けるように心掛けてください。なおウイルスに感染していても、肝機能が正常な人は、基本的には定期検査のみでかまいません。肝臓は沈黙の臓器といわれ、急性肝炎の場合を除き、病気が進行しないとほとんど自覚症状はあません。このため、検査で検査値の異常を指摘されてから、医療機関を受診しているのが現状です。

早期発見の点からも、40歳以上の人は一度、肝機能検査の検診を考えてください。