みんなの健康講座
広報 はつかいち より HATSUKAICHI


平成14年7月1日号 No.915

老いも若きも骨粗しょう症予防

佐伯地区医師会 廿日市支部 久松 和寛

骨粗しょう症という病気をご存じですか。骨量(骨に含まれるカルシウムを中心としたミネラルの量)が減少することによって、骨の密度が減少し、骨がもろくスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。

骨量は、20歳代にピークを迎え、30歳代後半以後、年を取るにつれて減少します。特に女性の場合は、閉経後に骨量が減少し始めます。閉経後3年以内が最も急激な減少となり、閉経後13年以降にはさらに著明に減少します。現在、日本では約500万人もの骨粗しょう症の患者さんがいるといわれており、女性患者数は男性の4~5倍にも達します。約90万人いるといわれる寝たきりの人の原因の3番目が骨粗しょう症による骨折です。また、骨粗しょう症は老人だけの病気でなく、20歳代や30歳代の若年性骨粗しょう症もあります。

骨粗しょう症は、30歳位までにあまり運動をしなかった人、手術で卵巣を摘出したなどで閉経が早く起こった人、やせた人、牛乳やチーズなどの乳製品をあまりとらない人、お酒をよく飲む人、たばこを吸う人、母親の腰が曲がっていた人などが特になりやすいといわれています。

症状は、①背が低くなる、②腰が曲がる、③腰・背中に痛みがある、④骨折しやすくなる(特に、手首、腕のつけ根、太もものつけ根、背骨)などがあります。

検査は、決して痛くなく、レントゲン写真撮影、放射線や超音波を利用した骨量の測定、血液検査などがあります。現在では骨量の測定が、最も信頼性があるとされています。

治療法は、症状や年齢に応じて薬による治療、食事による治療、運動による治療などが行われますが、日常の生活の仕方で予防することができます。

予防法としては、10歳代の成長期に骨量をなるべく多くしておくこと、そしてその後の骨量の低下をなるべく少なくすることの2点が原則です。

では、骨量を多くするにはどうすればいいのでしょうか。

次に、骨量の低下をなるべく少なくするにはどうすればいいでしょうか。

主に薬による方法があり、カルシウム、ビタミンD、ホルモン剤などを摂取します。特に、40歳を過ぎた女性では、女性ホルモン(特、エストロゲン)の低下が骨量の減少に影響すると言われるため、減少するホルモンを補充するホルモン補充療法で骨量の減少を止めるという治療が行われています。

骨は常に存在するのではなく、形成、吸収を繰り返しながら活発に代謝しています。しかし、年齢とともにそのバランスは崩れ、形成より体内に吸収されることが多くなってきます。

若い人も将来を考え、骨を丈夫にする努力が必要です。将来、寝たきりにならないよう、骨粗しょう症にならないための心構えをしておきましょう。また、年を取っている人も、現在の状態をさらに悪くしないためにりの予防を怠らないようにしましょう。